全てを変えたRE-11(前編)


さて、次はRE-01Rが生産終了してRE-11にモデルチェンジしたので、自動的にこのタイヤを付ける事になりました。
まあ、BSにこだわらなければ他にもありますが、ネオバ(AD07)は今一フィーリングが好きじゃないし、他のタイヤもちょっと魅力を感じなかったので、新しいBSのタイヤにした感じです。

今だから言いますが、私はRE-01RはBSのハイグリップタイヤの歴史の中では、失敗作だったと思っています。
その前のモデルの、RE-01の方がグリップは劣っていても、タイヤとしては良く出来ていたと思います。

何か、ネオバがAD07にモデルチェンジをして凄いグリップ性能を出してきたので、焦ってネオバに対抗するために、安直にRE-01の縦溝を減らして接地面積を増やし、コンパウンドを変えただけって感じがして、RE-01Rのインプレに書いた通り、ラジアルタイヤにしては発熱しにくいし、山の減り具合によりタイヤの特性が変わり過ぎるし(友人も同じ事を言っていました)、耐ハイドロ性能なんて、市販ラジアルタイヤとしてNGだと思う程ひどかったです。
6部山位になると、低速でも平気で水に乗っかっちゃいましたからねぇ。
ウェット路面では、何度か怖い思いをしました。
まあ詳しくは、RE-01Rのインプレを見てもらうとして…。

ただ耐ハイドロ性能は置いておいて、インプレに書いた事は、どうやら16インチタイヤ独特の特性の可能性もあるようです。
17インチタイヤを履いている人からは、あまりそのような話は聞かないので。
特に気になった、トレッドの剛性とグリップのバランスの悪さは17インチ以上のタイヤだと感じないのかもしれません。
まあタイヤは、サイズが変わると設計自体が全然変わるし、特性も変わるので、これは16インチタイヤ特有の問題だったのかもしれませんねぇ。

逆に、RE-11については私は、RE-11のインプレに書いた通り、剛性を含め最高だと思いましたが 、世間の評価は今一の様で、RE-01Rの方が良かったなんて話も聞いたことが有ります。
おかしいなぁー、と思って調べてみると、RE-11が今一だと思っている人は殆どが17インチ以上のタイヤで、扁平率は45以下の様です。
上記の様に、タイヤはサイズが違うと全然違うキャラになるので、これはサイズの違いが原因でしょう。
実際に、私の周りでは16インチ以下のサイズを履いている人は、絶賛している人が多いですね。
逆に17インチタイヤを履いている人は、剛性が落ちた感じで、タイヤのヨレを感じると言う人が多いですかねぇ。

まあここはS2000のページなので、タイヤの詳しい話はトップページのタイヤの項にでも書くとして、ざっくり言うと、タイヤは同じように作るとある所を境に、扁平率が薄いほど物理的に剛性が下がります。
しかし実際には、そう感じませんよねぇ? むしろ、一般に扁平率を下げるとシャープなハンドリングになる場合が多いでしょう。
それは、落ちた剛性を補うために、またインチアップなどをしてタイヤのハイト(厚み)を小さくすると、凸凹道や、石を踏んだときにホイールのリムにぶつからないように、金属を使って ケースを補強して、タイヤの剛性を上げてあるからです。

簡単に言うと、扁平率の厚いタイヤが空気で剛性を出しているのに対して、扁平率が薄いタイヤは金属で剛性を出しているのです。

私は、扁平率の薄いタイヤは、設計思想がランフラットタイヤ(パンクしても80Km/hで80Km走れるタイヤ)と似ていると思っています。
ランフラットタイヤは空気が抜けても走るので、当然空気で剛性を出しているのではなく、サイドウォール等の剛性を金属で出しているわけですね。(今後進化すると思いますが…)

ランフラットタイヤのスポーツ性能の酷さは有名ですねぇ。 私も一度運転した事が有りますが、嫌になりました。
タイヤをサスペンションのバネに例えるなら、硬くて短いバネと言った感じで、プラスチック製かと思う程路面追従性も悪く、硬い感じです。
いくら性能の良いバネやダンパーを入れても、これでは大無しですね。
これは、 間違ってもスポーツカーには履きたくないと思いました。
世界の高級車にはランフラットタイヤを入れるトレンドになっているようですが、さすがにBMW等のスポーツ走行を重視している車には、オプションで普通のタイヤも選べるようになっていますね。


さて、何が言いたいかと言うと、低扁平率のタイヤは、このランフラットタイヤの様になりがちだと言う事です。
つまり、あまり金属で剛性を出すとスポーツ性能が著しく落ちるでしょう。
よってRE-11は、敢えて低扁平率のタイヤではケース剛性を落としてきたのかもしれません。

もしも17インチ以上のRE-11で、剛性が低いと感じたり、ヨレを感じる人は思い切って空気圧を上げてみると良いと思います。
中途半端にではなく、冷間で、2.7キロとか2.8キロとかです。
大体これで、ヨレ感は消えるようです。そしたら、少しずつ下げて行って、一番好みの所を見つければよいでしょう。
RE-01Rのトレッドのブロック剛性が低いのは、調整しようがないので救いが無いですが、RE-11はトレッドのブロック剛性もショルダーの剛性も高いので、後はサイドウォール剛性を空気圧で調整して、逆にタイヤのタワミを上手く利用する運転をすることが出来ると思います。
タイヤもバネの一種ですから。

ちょっと余談ですが、タイヤのグリップ力と、ケース剛性は切っても切れない関係に有ります。
グリップが高くなればなるほど、タイヤを変形させようとする力が大きくなるので、剛性が必要となりますね。
特に、太くて扁平率の低いタイヤだと、より変形させようとする力が大きくなります。
Sタイヤがあのグリップを出せるのは、ケース剛性の高さが有ってこそです。
つまり、ラジアルタイヤでもハイグリップ化と低扁平化を同時に進めると、だんだんケースがカチカチのタイヤになって行ってしまうわけです。

しかし、剛性を上げれば今度は路面追従性が落ちて跳ねますね。
逆に言うと、扁平率を薄くしつつ、且つ路面追従を上げて跳ねないようにするには、剛性を下げる必要が有るので、少しグリップ力を落とす必要が有ります。
この辺は、痛し痒しですね。
例えばRE-050何かは、そんなバランスを上手く取ったタイヤだと思います。(130系以降のS2000で純正採用されているのは、おそらくその辺が理由じゃないかと思います)

ちなみに私の個人的な考えでは、サーキットの様に極端に路面の状況が良くない場所、つまり公道を走る際にRE-11クラスのハイグリップタイヤを履くなら、扁平率は50以上は有った方が良いと思います。
よってS2000ならば、16インチタイヤがベストだと考えています。
いくら高性能なサスペンションを入れても、最後に路面に接するのはタイヤなので、タイヤが固くて跳ねまくってしまっては意味が有りません。
いわゆる、「踏めない足」になってしまいます。
例えば、Sタイヤで減速帯の様な凹凸がある所を走った事が有る人は、跳ねておっかなくてしょうがなかったと思います。
逆に、タイヤが凹凸を上手く吸収してくれれば、非常に良い足となりますね。

このようにグリップ力と、路面追従性を両立するのは難しく、16インチのRE-11は、その辺のセッティングが秀逸だと思います。
17インチ以上のタイヤを履く人は、もうワングレードグリップの低いタイヤ(ケース剛性が低いタイヤ)を選ぶか、あるいはインチダウンすると、凹凸の有る公道では 横方向のヨレを感じずに、且つ 路面追従性が良くなると思います。
17インチ以上のRE-11で空気圧だけで調整するのは一つの妥協策ですが、ヨレるか跳ねるかのどちらかに行きがちな気がします。
(まあ、大インチが流行りのこのご時世に、16インチに戻すのは抵抗が有ると思いますが(笑))


あれ? ざっと書くつもりがちょっと長くなっちゃいましたねー(笑)。
ちょっと、後編で至高のハンドリングの話に戻します。
 

続く…。

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