神器その3



さて、では最後の神器の紹介です。
性質上、今回のパーツは”神器その2”のフルバケットシートとセットで交換することが普通でしょうかね。

もう御察しの方もいるかと思いますが、最後の神器は“ステアリングホイール”です。
四点式シートベルトで体を固定し、バケットシートで車のインフォメーションをダイレクトに得て、そしてシミュレーター使用時と同じように正確なステアリング操作をする。
そのために必要なものは、シミュレーターと同じサイズのステアリングホイールです。

自分がシミュレーターで運転をしているのか、実際の車を運転しているのかの区別がつかないように脳を騙すことが最終目標なのですから、当然、ハンドルの大きさが違っていてはダメってことですね。
(出来れば、大きさだけでなく銘柄も同じものに揃えるのが理想なのです)
普通のハンドルコントローラーのステアリングホイールは、大体26パイから30パイ程度の大きさしかありません。 また材質も軽いプラスチック等ですよね。

それに対して実車のステアリングホイールは、純正だと36パイ程度が普通でしょう。また材質や質感、質量もかなり違うはずです。
これらは、実際にかなり大きな違いとして感じられるはずです。 ハンドルを持つ位置から、持ち替えるときの場所まで全く異なるはずです。
小さい経のハンドルなら同じ場所を持って180度以上切ることができても、実車の大きなハンドルだと送りハンドルにしないと腕が動かせないといったことも良くあるはずです。
 
シミュレーターのステアリングホイールでいくら上手にハンドルさばきやカウンターステアを当てれるようになっても、実車だとそうは行かない原因の多くはここにあるのではないかと私は考えています。
ハンドルのサイズが違っていては、シミュレーターでのステアリング操作の練習の効率は、ぐっと下がるのですよ。

そうですねえ。 例えて言うなら、ゴルフの素振りの練習を家の庭でやるときに、ゴルフクラブの代わりに野球のバットを振っていては殆ど練習にならないですよね? これらはサイズやグリップの太さ、重さが別物ですから。
ステアリングホイールのサイズが大きく違うと、それに近いことがシミュレーター使用時に起こるってことです。
実際に実車のステアリングホイールをハンコンに付けると、一気にゲーム感がなくなってシミュレーターっぽく感じることでしょう。
 

そしてサイズの他にもう一つ大事なのが、ハンドルの位置です。
シミュレーターを使用しているときにハンドルの位置を見てみると、かなり近い位置にしていることがわかるはずです。
おそらく普通は、ハンドルを切ったときに肩が椅子から離れるような位置ではやっていないはずです。

ですが実車のハンドルの位置は、足をペダルの位置に合わせるとハンドルが遠くなることが多いでしょう。
まあ最近はテレスコピック機能が付いているものも増えてきましたが、それでもまだ遠くて合わないこともありますよね。
リクライニング機能が付いているシートならば背もたれを思い切り立てて、強引にハンドルの位置を手前にすることもできますが、フルバケットシートに交換すると確実にハンドルの位置は遠くなるはずです。そしてハンドルを手前に持って来るにはステアリングボススペーサーなどを使っての調整が必要となりますが、これらは純正のステアリングホイールには対応していません。(純正のハンドルでできると便利なんですがね)
 
よってステアリングホイールは、フルバケットシートとセットで変えるべきパーツとなるわけです。
 
最近の車には純正ハンドルに色々なスイッチが付いていることが多いので、ハンドルを交換してこれらが使えなくなることがデメリットとなりますね。 多くの場合、その事がステアリングホイール交換の敷居を上げていますが、ここは思い切って変えてしまうことをお勧めします。
お気に入りのステアリングホイールは車を乗り換えても長く使えるため、少し良いものを買うのがお勧めです。

MOMO社製ハンドルの購入参考
ナルディ社製ハンドルの購入参考

もちろん、逆にシミュレーターのステアリングホイールを、実車と同じ大きさにするという手もありますが、36パイというのはスポーツドライビングには少し大きすぎるというのが私の考えですかね。 アンダーステア特性の強い車しか運転しないならばそれもアリかもしれませんが、素速くカウンターステアを当てるシーンなどでは、小径のステアリングホイールの方がやりやすいことが多いでしょう。

また、ハンドルコントローラーによってはあまり大きなステアリングホイールを取り付けると(慣性モーメントが増えるので)モーターのキャパを超えてセルフアライニングトルクなどが正しい動作をしなくなったり、ハンドルが軽くなりすぎることもあるでしょう。
まあ実際にシミュレーターのハンコンに36パイ以上のステアリングホイールを付けてやってみるとわかると思いますが、びっくりするほど大きく感じて素早いハンドル操作がやりにくいと思うはずです。
 
ちなみに私は実車のハンドルを33パイのステアリングホイールに交換しました。
そしてもちろん、シミュレーター用のハンドルも同様に33パイです。 これは私にとってはちょうどよいサイズでしたが、33パイだと少し小さく感じる人もいるかも知れませんね。
また実車のハンドルの径を小さくすると、テコの原理によりハンドルが重くなるのでそれも考慮してくださいね。 量販店などにステアリングホイールが置いてあると思うので、実際に触って好みのサイズを決めるのが良いでしょう。
ちなみにお金がある人はシミュレーターのステアリングホイールも実車と同じ高級なものにするのがベストですが、安く済ませたい人は通販で4000円程度のものが売られているので、サイズだけ揃えてシミュレーターには安いものを使うのもありでしょう。(私はそうしています)
例えばMOMOタイプならこんなやつ

また、ハンコンのステアリングホイールを交換するときには変換アダプターが必要となることが多いので、アダプターに対応している物を選ぶことも重要です。(メジャーなハンコンには大体変換アダプターが存在しています)
変換アダプターは大体、MOMO系とNARDI系に分かれるはずです。 変換アダプターについてはハンコンごとに売られているのでネットで調べてみてくださいね。
 
シミュレーターに実車と同じサイズのステアリングホイールを取り付けると、びっくりするくらい実車の運転フィールに近づくでしょう。 ハンドルさばきも実車と同様になるはずですよ。
ステアリングホイールは価格もそれほど高くないので、これは実車とシミュレーターをすり合わせるためにはマストの練習方法だと思います。
 
最後に、念の為に書いておきますが、シミュレーターのハンドルのロックトゥーロックは実車と同じ値に設定してくださいね。


ちなみに ハンコンのステアリングホイールを実車用の大径のものに交換すると、テコの原理により同じフォースフィードバックだとハンドルが軽く感じます。 また、重量増も相まってイナーシャが増えるのでモーターに掛かる負荷も大きくなります。
よってステアリングホイールを実車のものに交換すると、強力なモーターを使用しているハンコンの優位性をとても感じるでしょう。
またロックトゥーロックも900度以上のものが実車と同じ値に設定出来るため良いでしょう。

これらのことから、ハンコンもやはり少し本格的な物を使うとよりシミュレーターとして実車に近づけると思いますので、あるレベルまで来たら少し高価なハンコンを買うことをお勧めします。
具体的には、シミュレーターと実車をすり合わせるための三種の神器で紹介したようなモデルや、その後継モデルが良いでしょう。
 
以上、シミュレーターと実車の操作を近づけるための”三種の神器”の紹介は終了です。
これで、ガソリン代やタイヤ代を気にせず、体力が尽きるまで思う存分シミュレーターで練習できるはずです。
その効果については、すでに世界中のレース業界で実証されているとおりです。


実際にこれら”三種の神器”を使用してみて私が思ったことは、世界のプロドライバー達が専用機器を使ってやっている練習にとても近いことが、安い民生機器である普通のパソコンとハンコン、そして”三種の神器”を使うことで、我々一般人にもできる時代になってきたということです。
これはアマチュアドライバーや、裕福ではないけどプロを目指そうとしている人にとっては、非常にありがたい話ですね。


皆さんもうお忘れかもしれませんが(笑)、本サイトの最終目標は、F1のチャンピオンとWRCのチャンピオンを本サイトの読者から出すことです。
それらを目指そうという方は、今回紹介した”三種の神器”やシミュレーターの使用はマストだと考えておいてくださいね。
そしてまずは、「シミュレーターならば俺は世界一だ!!」と言えるレベルにぜひなってください。

ならばその道の先には遠からず、確実に実車での世界一があるでしょう。 それが”現代”なのです。


以上。


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