2000円で古い日本車のハンドリングをBMWのハンドリングにする インプレ後編


次にギリギリまで隙間を埋めた際の、ハンドリングと走行性能の変化についてのインプレです。


1,ハンドリングは、一言でいうと“超クイック”な方向に変化した。 結果、ハンドリングの舵角が小さくても曲がれるようになった。 これはTRDの実験結果と同様である。

2,車のとの一体感が大幅に向上した。 操作に対するラグが大幅に減ったため、そう感じるのだと思う。

3,コーナリング限界速度の向上。

4,スライドコントロール性の向上。

5,深舵がよく効くようになった。

6,ハーシュネスの減少。

7,ハンドルが重くなった。 欧州車のようなフィーリングに変化。

8,セルフアライニングトルクの増加。

9,トラクションの向上。

10,高速安定性の向上。

11,ダウンフォースが増えたようなスタビリティーの向上。

12,ブレーキング時のピッチングの減少。



1について:

これが定量的に言える、一番大きな効果でしょう。
この施工以来、交差点を曲がってもウィンカーが戻らなくなって不便なほどに、ハンドルの舵角が小さくなりました。 そしてその程度は、隙間をキツく詰めれば詰めるほど大きくなります。
舵角の減少は低速域よりも高速域のほうがより体感できます。 例えば高速道路の車線変更のようなシーンでは、本当に数ミリハンドルを切っただけで曲がる感覚です。

高速域では施工前と比べて、体感では舵角が半分以下になっているのではないかと思います。(もちろん、車種によるでしょうが)
またハンドルのセンター付近の遊びや曖昧さが大幅に減少します。
これらの作用により、人によってはハンドリングがクイックすぎてシビアで怖いと思うかもしれません。 特にオーバーステアが出やすい後輪駆動車では怖くなる可能性が高いでしょう。 その場合は隙間を少し緩くするのも有りですね。

この舵角減少の効果は、車高調やピロブッシュへの変更などで足廻りを固めたり、タイヤの変更などでも得られないレベルのものです。
何かが足りないけどそれが何だか分らなかった場合、ボディー剛性の不足であることが多いのだと改めて思いました。
乗り心地を一切犠牲にせず、クイックなハンドリングになるのですからね。


2について。

これは強烈に体感できました。 まさに高級欧州車のような魔法のハンドリングに豹変です。
何と言うか車との一体感が凄く、一枚の硬い鉄板の上に乗って波乗りをしているようなフィーフィングです。
特に高速域では少ない舵角で、吸い込まれるようにレーンチェンジしたりコーナリング出来る感覚です。 これはあたかも車が意志をもっていて、自らそちらに行こうとしているような錯覚さえ覚えます。

このフィーフィングはアルファロメオ147に初めて乗った時の経験に似ていました。
何と言うか自分の手足の血管が、車体の隅々まで張り巡らされているような、不思議な一体感です。 とにかく操作に対して、ラグがないのです。
全く、めまいを覚えるような意味不明なハンドリングです。


3について。

旋回速度は明らかに増加しました。 今までよりもタイヤのグリップを使い切っているフィーリングです。 ハコの剛性が上がったことにより、タイヤの対地キャンバーなどの動的なアライメントが適正化されたのでしょう。
また体に伝わるインフォメーションが強いため、グリップの限界を出しやすいのも理由の一つでしょう。 前輪が曲がってから後輪が曲がり始めるまでのラグも明らかに減りました。 それも含めて、一体感が増加したフィーリングです。

4について。

インフォメーションがダイレクトに強く来ることに加え動く部分が減ったため、タイヤのスライドコントロールがとてもしやすいです。
ただしクイックにもなるため、ある意味でピーキーだと感じる可能性もあるかもしれません。
純正足よりも車高調の方がスライドコントロールしやすいというタイプの人には、コントロールしやすい方向の変化でしょう。


5について。

初期の舵も凄く良く効きますが、深舵もとても効きます。 つまり、切り足してもアンダーステアは出にくくなるでしょう。
おそらくジオメトリが適正化されたのでしょうね。


6について。

ハーシュネスは大幅に減りました。 これは快適性も向上する効果でしょう。

7について。

色々なところがシナらなくなったためだと思いますが、代わりにハンドルが重くなりました。 その分、フロントタイヤのインフォメーションも手に良く伝わって来ます。


8について。

これも同様に、各部が余分な動きをしなくなったため、タイヤからの力がダイレクトにハンドルに伝わるのでしょう。


9について。

LSDを付けるよりも先にこれを施工したほうが良いのでは?と思うほどにトラクションが向上します。
トラクションを上げるために普通ははLSDの他にタイヤを太くしたりダウンフォースをかけるなどしないといけませんが、これはコスパが良いですね。
他のパーツの取り付けはこの後からで良いでしょう。 恐らくこの施工だけでも、それほど不満が出ないレベルまでトラクションが上がるでしょう。

10について。

とにかく高速域で怖くありません。 クイックだけど怖くないのです。 まさに欧州車のハンドリングに近いと思いす。

11について。

10と重複しますが、クイックですがスタビリティーは上がります。 上手に調整すれば、スピン挙動にもなりにくいセッティングにできるでしょう。

12について。

ボディーの曲がりからくるピッチングが明らかに減ります。 なので車種によっては、後輪のブレーキバランスを強めに出来るかもしれませんね。
結果、制動距離も縮むでしょう。


とりあえず、こんなところです。
ちなみにオンラインサロンのメンバーの間では、このDIYドアスタビライザーがメチャ流行っていますが、皆さん良い方向に変化していますよ。
特に古い車種では、効果抜群のようです。 荷重曲げトラクションステアがかなりやりやすくなっているようです。

私流にインプレを一言でまとまると、「車の懐が深くなる」。 これに尽きます。
コントロール性、限界性能、スタビリティー、アジリティー、プレシジョンの全てが上がるのですからね。
剛性って、本当に大切なのだとつくづく感じました。

ちなみに私の車の場合、接着剤補強との相乗効果もあると思われます。
接着剤補強もそうですが、比較的古いクルマほど驚くような効果が出ると思います。
逆に新しく剛性の高い車では、あまり体感できない可能性も有るでしょう。

自作ドアスタビライザーについては、取り敢えず以上です。

 
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