ニューインプレッサ STi 試乗インプレッション


-------------------------------------------------------------
注: 若い頃に書いたものなので、文章が下手で乱暴なのはご容赦下さいね。

-------------------------------------------------------------


担当さんへ
ニューインプレッサ STi 試乗インプレッション。
 
登場する比較車:

インテグラDC2Si-VTEC(自分の車)、ランエボ[、GC8VerU、VerW。
 

2003年2月20日夜 晴れ(路面ドライ)気温0℃〜4℃

 
乗車時の印象:

まず、GCと比べ、ヒップポイントがかなり高く感じた。また、インテークダクトが目立つ。それによりより視点が高く感じたのかも? もう少しヒップポイントを下げた方がスピード感と安定感があり気持ちいいと思うが、そうするとインテークダクトがよりいっそう視界を妨げそうである。
シフトフィールは、カッチリ感がありGC8と比べてはるかに良い。シフトノブの場所も申し分ない。ここは、ランエボ[とほぼ互角。個人的には、シフトノブがコルクのように軽いので、アルミ程度の重さがあった方がギアが入るときの感触が良いと思う。
まあ、これはホンダ車に乗っている私の好みの範囲だが。握ったときの皮の感触は良い。

STiシートは、非の打ち所が無いほど非常に良い。これはランエボ[のレカロシートよりも個人的には上だと思う。
メーター類の配置も、インプレッサの方がいい。タコメータとスピードメータの配置がランエボと逆なのだが高回転で走るなら当然、スピードメータは右にあったほう視点移動が少なくて良い。REVインジケータも便利だし最高に楽しい。ぜひSpecCにも付けて欲しい。
 

走行インプレッション:

とってもエンジン音が静かで、質感を感じる。また、GCと比べボディーに剛性感を感じる。
特にAピラー辺りが特にがっちりした気がした。非常に上品な感じである。足はかなり固めだが、不快ではない。
個人的には、ボクサーサウンドがあまり好きでない為、完全等長エキマニで好きな音になっている。
アクセルを踏み込むと、低回転からトルクが発生する。非常に鋭い加速であるがGC8よりターボラグも無く、ドッカン加速ではない。しかし、かなり強烈な加速である。
ランエボ[も加速は強烈だが、比較的一定の加速感なのに比べ、インプレッサはそれより多少ピーキーでストレートは楽しい。ただ、パワーバンドはランエボ[の方が若干広い気がした。ランエボ[はロングストローク、インプレッサは超ショートストロークなことを考えると、低回転であれだけのトルクがあるのは素晴らしいと思う。それとやはり、高回転まで回るエンジンは運転していて楽しい。レッドゾーンが8000回転なのは非常に高ポイント。(ランエボ[は7000。)

しかしながら、実際にパワー間を感じるのは7000回転までであった。それ以降は、パワー感がなく回っていく感じである。
せっかく、超ショートストローク、水平対向による低振動エンジンなのだから、もう少し高回転までキッチリ回って欲しい。。。
ギアがクロスしているので、8000回転まで引っ張ってシフトアップするより7000回転でシフトアップした方が速いような気がする(いくらなんでもそれは気のせいだと思うが)。 また本当に強烈なパワー感を感じるのは、6500回転位までのような気がする。
まあ高回転でトルクを出してしまったら280馬力に収まらないのでそれは仕方がないと思うが、チューニングの余地が有るのかはぜひ知りたいところである。
しかしとにかく、4000〜6000回転の加速感は強烈なのでチューニングの期待感は大である。
また、エンジン音はモーターのようにスムーズで素晴らしい。タービンの回転音も非常に心地いい音だった。それだけでも購買意欲をそそられた(笑)。
 
ボディーはGC8と比べても、ランエボ[と比べても非常に剛性感を感じる。鉄の箱のようにピッチングもねじれも全く感じなかった。ただ、かなり重い感じがした。ランエボ[と比べても、その外見とは相反してかなり重さを感じた。わずか30kgの違いのはずだが…
GC8と比べると、かなり重い。非常に重い。とっても重い。剛性感の代わりに軽快感を感じないのが正直なところ。
 

ブレーキは、ブレンボで初期制動力が高い。ブレーキはランエボと同レベルだと思う。ただ、初期制動力は高いが、車体の重さとあいまって、いわゆる奥で効かない感じがする。これは、純正パッドなので仕方が無いのかもしれないが、おそらくパッド交換のみで解決すると思われる。
奥で効かないこの症状は、ランエボでも同様であった。あと気のせいかもしれないが、GC8の方がブレーキの剛性感があったような気が…。マスターバックの違いなのかもしれないが。新型の方がエンジンのアシストが大きくて、踏み込んだときに相対的に奥で効かないことも考えられる。
 
足はかなり硬くしっかりしているが、その割にかなりロールをする。
中高速コーナーのコーナリング限界は相当高いと思われるが、意外にロールするので恐怖感を感じる。
外側のタイヤのグリップ感が感じにくく限界がつかみにくいが、これは路面温度が低いからかもしれないので、夏場は多少違う印象になるかもしれない。
レガシーステーションワゴンのTS-Rの方が、地面にベッタリ感が強く安心感があったような気がする。ホイールベースの違いかもしれないが…。
あれだけ硬い足だから、もう少しロールを抑えては?と思うが、インプレッサはロールしないと曲がらないのかもしれない。
あるいは、グラベルなどの為にストロークを多く取っているのかな? 舗装路ではもう少し抑えた方が安心感が高いと思われる。
それと、全体的にハンドルがかなり重めであるが、まあ許容範囲内か。強烈なグリップのタイヤのせいかな?? 峠をせわしなく攻めると多少疲れるかも。
 

低速レーンチェンジ:
中低速でのレーンチェンジは、ランエボ[やインテグラと比べ、かなりダルイ感じがした。
もう少しクイックの方が個人的には好きであるし、速く走れる気がする。
 

高速レーンチェンジ:
高速だといきなりクイックになる。ただ、レーンチェンジ後の収まりはランエボの方が上であった気がする。また、アクセルを踏みながらハンドルを比較的早く切るとハンドルが重く、ハンドルを取られるような印象であった。クイックな事とあいまって、多少怖さを感じた。ランエボの方がスタビリティーが一枚上だった気がする。
(ランエボは直線とレーンチェンジしか試乗できなかったので比較はこれで終了)
 

前置きが長くなったが、実走行の感想。
その前に、私はFFのNA(インテグラ)乗りである。そのため人により、感じ方は違うと思われる。
峠やワインディングでのインプレッサの登りのパワーと4輪から繰り出すトラクションは感動的ですらある。FFが最も苦手な登りのタイトなコーナーもぐいぐいノーズが入っていく。これは、フロントが低重心ならではだとおもわれ、他の車にはかなわないところだと思われる。非常に運転していて気持ちがいい。登りでのターボのパワーも強烈だ。
次にDCCDであるが、これはオートモードで走っていたが、コーナーの出口で立ち上がるときに、ハンドルの蛇角やアクセル開度によって挙動がかなり異なる。
同じコーナーでも唐突にアンダーステアになったり、はたまた唐突にオーバーステアになったりした。これは慣れないとかなり難しい。特に、オーバーステアは慣れてないのでかなり怖かった。とてもアクセルが踏めない。
この日はオートモードのみで走ったが、タックインは安定していて非常に曲がりやすい。怖いほど素直にノーズが入っていく。アクセル踏んでないときには文句無しに素晴らしい。
 
この日は気温が低かったので、全体的にエンジンパワーは強烈でグリップが低かったと思われる。
 
 
 
21日昼 晴れ(ドライ)気温10℃〜14℃
ステージ:高速道路と箱根の七曲り
 
高速道路の走行は、文句無しに素晴らしい。高速域での乗り心地もスタビリティーもアリストV300と比較しても遜色ない。
高速域でも全く恐怖感が無い。空力が効いているのかもしれないが、非常に張り付き感がある。加速も、車の物とは思えないような加速であり、5速からの高速域でも良く加速する。音も静かであり、乗り心地もよい。
高速道路での走りは、GC8よりも数段優れていると思われる。インテグラとは格が違う。もはや、4ドアセダンというよりGT-Rやスープラと肩を並べている、もしくは追い越しているのでは?
 
箱根の峠道は、高低差のあるヘアピンを始めタイトなコーナーが多い。4駆ターボの力は絶大で、力強く峠を上る。
ただどうしてもDCCDのオートモードが難しい。コーナーの出口でアンダーになるか、オーバーになるのか全く予測がつかないので立ち上がりでアクセルをほとんど踏めない。私は、FFに慣れているのでマニュアルモードにして、センターデフをロックに近いところにすると非常に走りやすかった。挙動が予測しやすい為であると思われる。オートモードよりも相当アンダーになっているはずだが、ヘアピンでもインプレッサの基本レイアウト(低重心、前後重量バランス)が素晴らしいので十分に曲がる。
立ち上がりのトラクションも抜群で、強烈に立ち上がるようになった。FFに慣れているので、私は弱アンダーの方が運転しやすかった。

やはり、このような設定が出来るDCCDは素晴らしい機能だと思われる。
逆に同じ峠の下りだが、今度はDCCDをフリーにすると非常に良く曲がり、走りやすかった。高低差が激しいヘアピンなので、出口でアクセルをあまり踏まないし、荷重が前にかかっている為DCCDをフリーにしてみたが、感動的に良く曲がった。
時間があまり無かったので、この程度しか試せなかったが、DCCDの懐は深いと見た。
下りのブレーキも問題は無いが、やはり本格的に責めるなら高μの耐フェード性の高いブレーキパッドを選ぶべきだろう。ヘビーな車重から考えても特に。

また一つ気になったのが、アイドリング中に時々左右の揺れに近い、めまいのような不快な振動が起きた。
おそらく、アイドリングの回転数によって変わるのでエンジンからだと思われる。
GC8でも見られたので、水平対向エンジン特有のものかな? しかしレガシーにはあまり感じなかったので強いエンジンマウントの為かもしれない。
 
 

まとめ

 
総評して、インプレッサがいったい何を目指しているのかがわからなくなったのが正直なところだ。
高速道路での走行はGC8と比べ確実に良くなっているが、峠やワインディングを走る軽快感がインテグラと比べるまでも無くGC8と比べてもかなりだるくなっている。
自分のインテグラと比べ約400kg重いこの車は、低中速で峠を攻めるにはかなり重々しい。(試乗の帰りに自分の車に乗ったらおもちゃのように軽くキビキビと感じたし、14インチのブレーキで遥かに良く止まった)

質感が非常に高いが、だんだんレガシーのようにおとなしすぎてスパルタンでは無い気がする。
目指していっている方向が、だんだん山道をキビキビと走る車、ラリーカーというより、高速道路を速く快適に走る車に近づけていっている気がしてならない。Zのような最近のスポーツカーのように。

インプレッサはニュルブルリンクや高速道路など、超高速域を重視する車を目指しているのだろうか??
それとも今までどおり、低中速が入り乱れる山道を軽快に速く走ることを目指しているのだろうか…。
まあ、オールラウンドに走れる車といえばそう仕上がっていると思うが…。
峠においては、ハイグリップタイヤや、エンジン&ミッションレイアウトや剛性、17インチのブレンボのブレーキ等などで、コーナリング性能を始めとする運動性能は向上しているが、車重の増加でその全てを相殺している気がする…。
直線や登りはあの強烈なエンジンと、4駆のトラクションで他の車はおそらくかなわないが、自分で運転しているとその速さの違いは、結局エンジン関係だけのような気分になってしまう。(これは私が、4駆にもターボにも慣れていないためでもあるだろうが)。
この車を選ぶ人は、やはり高速道路ではなく山を走る人だと思うので、多少超高速域での剛性感やスタビリティーなど犠牲にしてでも、もう少し軽い車にして欲しい。せめて、ノーマルで1300Kg代に。まあ、衝突安全ボディーなど困難なことは理解できるが…。
剛性アップは、パーツをオプションで選べればベストだと思う。
その点、軽量でスパルタンらしいSpecCには期待できそうである。
ただ、ヒップポジションがどうも…。もう少し低くGC程度にして欲しい。これは速い遅いではなく、運転する楽しさとも直結していると思うので。

インプレッサのサスペンションは、ストラット式だったと思うので、車高を下げるとロールセンターが下がりやすい事が想像される。(インテグラのダブルウィッシュボーンはあまり変わらない)。よって、ヒップポジションを後から下げることは、コーナーリング性能とのトレードオフになるような気がする…。まあ、これもストロークを多くとるためのものだと思うが、GC8のヒップポジションの方が個人的には好きである。
もしストロークを取るのなら、もう少しごつごつ感の無い欧州車(プジョー)のようなしなやかな足でもいいと思うのだが…。
 
まあ今言った事は、とっても高いレベルでの話であって、はっきり言ってノーマルで今この車より速く峠を走れる車は無いと思う。しかし、この車のポテンシャルはもっともっと高いところに有ると思われて仕方が無い。
 
 

私からの提案とお願い。(無理なのは承知ですが(笑)):

エンジンだが、水平対向は、低重心、低振動で素晴らしい。シンメトリーレイアウトも素晴らしい。
ただ、その割には上記のようにエンジンの振動が若干ある。これは、コンロッドをもう少しだけ長くすることで改善されるような気がする。
短いストロークはそのままでいいから、コンロッドだけもう少し長く。今の車幅なら、技術的には容易だと思う。
そうすれば、ピストンの首振りが減少し、より低振動になる=もっと高回転が回し易くなるのではないだろうか。
コンロッドの質量が多少増えるが、それを補って余りあると思われる。

さらにバッテリーの位置だが、あんな重量物をオーバーハング部分に付けているのは運転手との重量バランスのことを考えてのことなのだろうか??
あそこの場所は、かなり慣性モーメントが大きいはずである。まあ、ノーズの入りがこんなにいいので必要ないかもしれないが、ぱっと見てウォッシャー液タンクと場所を交換したくなる配置である。自分だったら、間違いなく軽量なドライバッテリーに置き換える。それにより、おそらくかなりハンドリングが変わると思われる。
それと、エアインテークダクトだが、直線走行では問題ないが、特に左コーナーでラインが非常に見にくい。出来れば、もう少し何とかならないのかなあ。。。
それと、運転席のドアガラスは紫外線カットのものみたいだが、普通の透明なガラスも選べるとうれしい。
それと、SpecCに是非ともスバルブルーの色を用意して欲しい!!!
むしろスバルのフラッグシップとして、WRカラーが無いのは不自然だと思われるが。

さらに無理を承知で言わせていただければ、できれば、StiVerWのような2ドアをラインナップしてもらえれば言うことが無い(笑)。
 

とにかく、GT-Rよりも大きなトルク、完全等長エキマニでモーターのように8000回転まで回るエンジン、35:65に見直されたトルク配分。エアロ機能。ニュルをポルシェより速く8分6秒で走るその速さ、ニューインプレッサには魅力が満載です。
 
 
2003/02/23  E.T



Back        Top